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「還元系温泉」とは
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  「還元系温泉」とは何か   【関連情報】
温泉の酸化還元電位マイナスの誤謬
 
温泉には還元性という特性があります。還元性は温泉に含まれている成分の状態と密接な関連があり、酸化還元電位によって指標化することができます。温泉の還元性は含まれる成分によって異なります。下図は日本の主要な温泉50カ所の源泉の酸化還元電位を示したものです。実に多様な分布となっていますが、それは温泉の個性の表れでもあります。
■日本の主な温泉50カ所の源泉の酸化還元電位
  *測定値は25℃に温度補正をした標準水素電極基準による値です。酸化還元電位の値は、標準水素電極基準で示すことが基本です。最近、インターネット上には一般の方が測定した、いわゆる「直読み」と思われる値が出回っていますが、それとは大きく異なります。基準が明示されていない値は鵜呑みにできませんので注意が必要です。

 
 
天然状態にある温泉は図中の還元系の領域のいずれかに、自然界に存在する地下水や河川水などの一般的な水はおおむね平衡系付近にプロットされますが、これらに対して塩素消毒等(酸化剤の添加)が行われた場合は、酸化系の領域へと変化します。よって温泉とは、本来の天然状態においては還元性が発揮されたものであり、私たちが日常的に接する塩素消毒が施された水道水や一般的な浴槽水といった酸化性のものとは異なる性質を持っていることがわかります。

しかし、温泉の還元性は常に一定に保たれているわけではありません。温泉として地下からゆう出した後、空気に触れるなどして酸化され、時間の経過とともに還元性は失われていきます。この速度は温泉に含まれる成分や温泉の使い方によって異なりますが、もともとあった還元系領域内の位置から平衡系の付近へと変化していくにつれ、還元性は次第に発揮されなくなります。この変化の過程を、温泉の「老化現象」と言います。還元性の喪失は成分変化とも関係しているため、泉質によっては、泉質変化をもたらすこともあります。

このことから、温泉にとっての「還元性」とは「新鮮さ」に置き換えることができ、温泉としての“品質”と“存在理由”の証明に欠かせない要素の一つであると考えられます。この還元性が、私たちが入浴をする浴槽においても源泉と比して大きく異なる ( ここでいう「異なる」とは、温泉本来の自然現象による変化に反した人工的な改変を指します )  ことなく維持されていたとするならば、本来の温泉の効果・効能のみならず、温泉らしさを堪能したり、実感できたりすることにも大いに期待が持てるというわけです。

 「還元系温泉」という5字熟語は、本制度の取り組みを始めた2003年に当研究所が使い始めた造語です。この5字熟語が意味することは、浴槽における温泉水が源泉の特性と比して大きく異なることなく、浴用として合理的に提供されていることを示すものです。
【参考情報】
「湯を識る」 野沢温泉事例紹介 (デジタルブック)
 

日本温泉総合研究所