温泉と観光の principle を追及する純民間の調査研究・コンサルティング会社です |
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正式に温泉と名乗る (看板を掲げる) ためには、1948(昭和23)年につくられた 「温泉法」 という法律で定められた条件を満たす必要があります。つまり、「温泉」
と普通の「湧水」や「井戸水」との違いは何か
? ということです。「温泉法第二条」、およびその「別表」において、温泉は以下のような定義により区別されています。 |
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(定義) 第二条 この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう |
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【ポイント(以下、緑字)】 温泉というと、
一般的な感覚では
「温かい水」
の状態であることを連想します。しかし 「温泉法」では別表の条件を満たしていれば冷たい水でも 「温泉」 です。また、温泉が沸騰した水蒸気やガスも
「温泉」 に含まれます。このため、水蒸気を水道水や井戸水に当てて人工的につくった 「蒸気造成泉」 と呼ばれる温泉も、法律的には 「温泉」 として認められています。 |
では、 「別表」はどのような内容でしょうか。 大まかに列記すると、以下の3つの条件のうち1つでも満たしていれば温泉として認められることになっています。 |
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1.温泉源から採集されるときの温度が25℃以上であること。 (つまり、
地中から湧き出た時点で25℃以上あれば、たとえ水と変わらない成分でも温泉となります)
2.温泉水1kg中にガスを除く溶存物質が1,000mg(1g)以上含まれていること。 (つまり、1,000mg/kg以上の溶存物質があれば、25℃以下でどんなに冷たくても温泉となります)
3.指定された18種類の成分が一種類でも規定量以上含まれていること。 (つまり、25℃以下で1,000mg/kg以上の溶存物質がなくても、この条件を満たせば温泉となります) |
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別表の詳しい内容は以下の表をご覧ください。この数値基準は、1911年にドイツのバート・ナウハイム(ナウハイム温泉)での会議で採択された
「ナウハイム決議」に基づき、日本独自のアレンジを加えたものです。しかし、どのような根拠と過程によりナウハイム決議に至ったのか、そして日本で取り入れる際にどのような検討が加えられたのかについては不明なことばかりで、よくわかっていません。現在となっては、「
科学的根拠に乏しい」 という見方が大勢です。 |
温泉法第二条別表 (第1−1表) *常水(普通の水)と区別する限界値
参考としてナウハイム決議の値を橙色で併記しています。
1 温度(源泉から採取されるときの温度)摂氏25度以上 (ナウハイム決議では20℃以上)
2 物質(下記に掲げるもののうち、いずれかひとつ) |
物質名 |
含有量 (1kg中) mg以上 |
(参考)ナウハイム決議の値 |
溶存物質 (ガス性のものを除く) |
総量 1,000mg |
1g (全ミネラル成分) |
遊離二酸化炭素(CO2)(遊離炭酸) |
250mg |
250mg |
リチウムイオン (Li+) |
1mg |
1mg |
ストロンチウムイオン (Sr2+) |
10mg |
10mg |
バリウムイオン (Ba2+) |
5mg |
5mg |
総鉄イオン (Fe2++Fe3+) |
10mg |
10mg |
マンガン(U)イオン (Mn2+ ) (第一マンガンイオン) |
10mg |
- |
水素イオン (H+) |
1mg |
- |
臭素イオン (Br-) |
5mg |
5mg |
ヨウ素イオン (I-) |
1mg |
1mg |
フッ素イオン (F-) |
2mg |
2mg |
ヒ酸水素イオン (HAsO42-) (ヒドロヒ酸イオン) |
1.3mg |
1.3mg |
メタ亜ヒ酸イオン (HAsO2-) |
1mg |
1mg |
総硫黄(S) [HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの] |
1mg |
1mg |
メタホウ酸 (HBO2) |
5mg |
5mg |
メタケイ酸 (H2SiO3) |
50mg |
- |
炭酸水素ナトリウム (NaHCO3) (重炭酸そうだ) |
340mg |
アルカリ度として 340 |
ラドン (Rn) |
20×10-10Ci = 74Bq以上
(5.5マッヘ単位以上) |
ラジウムエマナチオン 3.5マッヘ |
ラジウム塩 (Raとして) |
1×10-8 mg以上 |
- |
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溶存物質の総計が1,000mg以下で、かつ温度が25℃以下であっても、18種類の物質のうち1つでも該当すれば温泉として認められることになります。このことから、たとえば都市部などにある銭湯では古くから井戸水が利用されていたりしますが、たまたま分析してみたら18種類のうちの1つに引っかかり、「今日から温泉になりました」という事例が多々見受けられます。ちなみにこうした温泉の場合には泉質名がつかない場合がほとんどです(詳しくは別項で触れます)。温泉とは、実はずいぶん敷居の低いものであることがわかります。 |
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